いじめられっ子がいじめっ子になる瞬間

ナイトウです。

今回は、
うまくいき始めたクリエイターで
陥りやすい罠についてのお話です。

この話は、全ての人が
そうなるわけではありません。

自分を客観的に見られる人であれば、
回避できるはずですが、
客観視が苦手な人だと陥る可能性は高い、
という印象はあります。

今回の文章を読んでいて、
該当しそうであれば、
注意してみると良いでしょう。

まず
「どんな人が該当しやすいか?」
からいきましょう。

それは・・・
フリーランスで仕事を始めた頃、
自分のルールをはっきりと提示しなかったことで、
仕事を受けるだけ受け、相手のいいなりになって、
気づいたら疲弊してしまった、
という経験をしてきた人です。

そんな悩みを抱えた人がうまく行く方法は、

まずは徹底的に自分のルールを決めて、
付き合いたくない、あるいは受けたくない仕事を
徹底的に断って行く、ということです。

より自分にあった仕事とお客さんを
自分から選択して行く、ということです。

もちろん、これ以外にも現状を抜け出す術は
存在しますが、

フリーランスにおいて、
自分のルールをはっきりさせることは、
独立する前にやっておくことですし、
独立してからも、模索して行くタスクの1つです。

しかもこの独自ルールは
自分の価値観とともに
変わって行くはずですから、
「常に固定している」というものではないでしょう。

この独自ルールをはっきりと決めて、
忠実に守って行くことで、
やりたくもない仕事を受けずに済みますし、
自分にとって都合の良い仕事を
選り好みできるようになります。

これができるということは、
断る勇気を持つことができた、
ということですし、

それで仕事が回っていけば、
「これで良かったんだ!」という
大きな自信にもつながります。
目の前には、常に関わりたい人が
いるわけですから、いろんなものが
うまく回り始めているように見えるはずです。

断れずに、仕事を受けてきてしまった
クリエイター達の第一関門、と言っても
良いくらいの難所を越えることができた。

この功績はぜひ褒め称えたいほどです。

ですが、このルールを覚えて、
自分で都合の良い仕事を選り好みできるようになり、
お金に余裕が出てくると、
少しずつ妙なズレが出てきます。

人間というのは不思議なもので、
状況が良くなっていけば行くほど、
「傲慢」になりやすくなります。

僕は本来、傲慢というものは
勇気を出して、意図的になる状態であって、
無意識になる状態ではないと
思っています。

傲慢に関しては、また
別のところでお話しするので
今回は割愛しますが、

第一関門を突破して
傲慢になりつつある、多くのクリエイターは
残念ながら、その傲慢さを自分で気づけなかったりしますし、
第三者はそれをわざわざ教えてくれなかったりしますから、
気づいた時にはかなり致命的な状況だった
ということもあるかもしれません。

例えば、
「あの人かっこいいなぁ」と以前は思っていたけど、
「最近、ちょっと微妙だよね」という見られ方をして、
少しずつ距離を置かれる、ということです。

狙ってやってることであれば、良いですが、
意図せずにそうなっている状況が出てくるのが、
今回の話です。

ですから、もし
そんなような状況に陥っている可能性があると
思えば、ぜひ一度ゆっくりと時間をとって
見直してみると良いかもしれません。

さて、ここまで、
傲慢だとか、
ズレが生じる、などと
話を進めてきましたが、
一体、どんな状況に陥るのでしょうか。

それは・・・。

「エンドユーザーを置き去りにする」

ということです。

資本主義において、価値を提供する側は、
ルールを一方的に押し付けることが可能です。

ですから、仮に後出しジャンケンで、
サービスの規定が変わり、予告もなく変更する、
ということも可能です。

こんな
「予告もなく、サービスの規定が変わった」
ということは、僕らは消費者側で
何度も経験があるはずです。

時には
「理不尽だ!」
なんて思うこともあるかもしれません。

例えば、

せっかく高い車を買ったのに、
初期不良で問題があるのに、
ディーラーは対応してくれなかった、とか

使っていたサーバーが、
予告もなくサービスを停止して
これまでのデータが全く取り出ず、さらに消えた、とか

バージョンアップしたら、
仕様変更があって、これまで使っていた
機能がなくなって、仕事の運用に支障が出る、とか

色々。

たとえ理不尽な状況であっても、
相手が作ったサービスですから、
合意せざる得ないなんてことは
よくあることです。

それが大きい企業であればあるほど、
一個人の意見なんて採用されない、
なんてこともあります。

しかし、
これは資本主義において、
別に不思議なことではなく、

仮に事前に伝わってなくとも、
明記さえしていれば、
基本的には正当化できます。

消費者側からすれば、
「なんてひどいんだ!」
と思うかもしれませんが、致し方ありません。

また本来、明記するはずのことも、
明記がなく強行されたとしても、
仮にフリーランスなどの小さいビジネスレベルでは
一方的に誰かが負ける(泣き寝入りする)だけで、
社会的な大きな問題まで発展することはない

というのも現実です。

そーいう、よく知れば理不尽な世界です。

これを傲慢な人間は、無意識レベルでやっています。

これまで消費者側だった人間が、
相手のいいなりで動いていた人間が、
価値提供をする立場になり、

しかも、資本主義のルールを
知ったからと言って、
エンドユーザーをおざなりにしていいか、

というのは全くの別問題です。

みんながやっているから、
大きな企業がやっているから、
と言って、そのやり方を採用するのは
如何なものか、ということです。

つまり、
価値を提供しているのは
僕らなんだから、ルールを提示して、
自分の都合の良い感じに色々と決めて

困ったことがあったら、
なんの予告もなしに、
エンドユーザーのことを考えずに、
自分の都合だけで考えて、事業を進める、

というのは違う、と僕は思うわけです。

もしそんなことをやってしまっているのであれば、
それは、
「いじめられっ子が、いじめっ子になる」
時だと思うのです。

これまで散々こき使ってきたんだから、
今後はこっちがこき使ってやるよ、みたいな。

確かに資本主義とは
そーいう価値がある者が
ルールを提示して、ある程度思うように
コントロールすることができますし、

それが最も効率的に行えるような
システムだと思うのですが、

本来は、価値を受ける側(エンドユーザー)に
寄り添ったサービスを提供して行くのが
商売ですし、彼らの問題を解決するために
僕らは頑張って価値を提供し
その対価をいただくもの、だと僕は思うのです。

決して、自分の都合の良いように
彼らから搾取するために、
活動しているわけではありません。

ですから、
もしサービスの方向転換や
仕事で気に入らないことがあったとしても、
僕らが真っ先にやることは、
急なルール変更などではなく、

「情報を先に出すこと」

です。

ビジネス(商売)において、
最も重要なことは、

「情報を先に出すこと」

だと僕は考えています。

これは、おそらくどんなことでも
そうだと思うのですが、

例えば、仕事になる前の打ち合わせなら、
必ずお金の話は「先に」しておく

とか。

こちらのスタンスやメニューを「先に」
お客さんに伝えておく

とか。

サービスの変更があった場合は、
猶予期間を設けて、「事前に予告しておく」

とか。

打ち合わせに時間制限があるなら、
何時までに終わらせる旨を「先に」伝える

とか。

何か大きなトラブルがあったら、
「なるべく早く」メンバーに共有する

とか。

色々。
偉そうに言っている僕も
この前の打ち合わせでは
うっかり後の予定を伝え忘れて
後出しで情報を流して、
微妙な空気を作ってしまったんですが、

こういう小さい部分や
ちょっとしたトラブルから大きなトラブルまで
回避をしていきたいなら、

「情報の先出しを徹底する」

ということはすごく重要なことです。

事前情報なしにいきなりサービスや規定の変更が
起きるから「理不尽だ!」なんて思うわけです。

そしてそこに溝が生まれます。

ある程度の猶予期間があれば、
多少のトラブルがあっても、
「まぁ仕方がないか」
ということで、次の策を練られます。

言い方を変えれば、

「終わり方を考える」

です。

サービスの終わり方、
打ち合わせの終わり方、
仕事の終わり方、
トラブルの終わり方、
色々。

ですから、ルールを決めること、
自分の意思をはっきり伝えることは
徹底していく必要はあると思うんですが、

それが一方的すぎると、
期待していたエンドユーザーを
裏切る形になることもあるということを
僕らは常々忘れないようにした方が
良いと思うのです。

もちろん、
事前情報なしに、予告もなくサービス変更をして
大きなトラブルになることはないかも知れません。

ですが、それは確実に
あなたのブランディングに影響してきますし、
エンドユーザーとの信頼にも関わってくることです。

仮にチームで動いていれば、
その動き方で、チームが崩壊することもあります。

「それでも俺は、俺のルールに準じた閉じた世界で、
俺だけを見てくれるやつだけを相手にしたいんだ!」

もしそんな風に思うなら、それはそれでありです。
やり方次第では、実現可能です。

そーいうやり方でビジネスを成功に導いている人たちも
僕は知っています。

ただそれは「宗教のビジネスモデル」とあまり変わらないですし、
第三者から見たら、決して美しいものではないと僕は感じています。

僕は
いじめられっ子が、いじめっ子になって
喜んでいる状況を決して美しいとは思えないのです。

もし駆け出しのクリエイターで
ルールによって、断ることによって
自信を得た人は、注意してください。

必ずしもみんなが通る道ではないですし、
スタンスによっては、

「俺のルールが全て」

を採用する人もいるかも知れません。

ただ僕は、少なくともそういう人とは
あまり関わりたくないですし、
仮にうっかり罠にはまっている人がいれば、
気づくヒントくらいは伝えたいな、と思っています。

「情報の先出しを徹底する」

これが今回の道しるべになるはずです。

僕も日々、気をつけたいと思っていることです。