アニメ業界について考えてみる:#3 広告としてのアニメ

もともとアニメというものは、

おもちゃを売るための広告だった

という話は良く聞く。

おそらく今でもそういう側面はあるはず。

 

キャラクターがいてストーリーがあって世界観があるからこそ

それを見た子供は魅力を感じて、そこに登場するおもちゃを現実に持ち込んで、遊びたがる。

今ではそれは”子供向けのアニメ”と

定義されるのかもしれないけれど、

もともとそういうものだったようだ。

 

 

今現在、どうなっているかというと、

そういう側面ももちろんあるけれど、どちらかというと、作品を見せて、

その円盤を売るみたいな流れが強いように思う。

 

それが悪いとは決して思わないけれど、

あくまでそれは副産物的なものであって、

そこでキャッシュを生んで、ビジネスを回していく

という発想というのはビジネス構造を考えると違うように思う。

 

それはよくある、

”書籍を販売して、それで利益を出そう”

みたいな発想と同じだ。

 

巷でよくいわれる、

フロントエンドとバックエンド

という言葉を使うのであれば、

書籍はフロントエンド商品の扱いの筈で

そこで利益を出すもの、というよりは、

より多くの人に知ってもらうための活動で、

名刺代わりにならなければあまり意味がないように思える。

 

ビジネスを螺旋の構造に落しこむなら、

単発で終わらせるのは違うだろう。

だからどうしても扱いとしては、

知ってもらうための活動ではないか、とよく思う。

 

そう考えると、アニメというエンタメは知ってもらう活動にすごくマッチする。

 

それこそ、「広告」というポジションが一番合っているように思えて仕方がない。

 

アニメ作品を広告として、

おもちゃをキャッシュポイントとする話以外に、

最近は別の流れがある印象を受ける。

 

それは聖地巡礼だとか、

現実のものを作品に登場させて、現実でも楽しむ、

みたいな流れだ。

 

それはコンビニとかがコラボでやっていたりするし、

エヴァシリーズでは一時期すごくやられていた。

実際にそれを製作費に回しているという話もあった。

 

2017年現在で言えば、

新海監督の「君の名は。」でも意図的に劇中に

現実世界のものを登場させて、

カフェで楽しんだり、とあるスポットで楽しめたりする。

 

新海監督は秒速あたりから、積極的にこういうことを

取り入れているし、クロスロードのパネル展示でも

確かマーケティングと劇中に現実のものを登場させることについての

意義について触れていたように思う。

 

現実とつなげる”何か”。

 

今の時代のこの流れだけを見れば、

アニメは作品の世界観と現実の世界とを紐づける

「何か」として使われる広告としての見方もできる。

 

これ自体はすごいことだし、

聖地巡礼による経済効果があった部分も

多くありそう。

 

この辺りは数字としてネット上にありそうなので、

きちんと見ておくといろいろ参考になりそうな話かもしれない。

ヒントかもしれない。

 

ただ、結局これも、エンターテイメントとしての

楽しみを消費する部分であって、

いつも微分的な要素がすごく強いな、と感じる。

 

そこが広告としてみたときに、不安定であり、

博打的な発想がどうしても拭えない。

 

設計としての発想をいれていくなら、

安定した土台が必要。

 

外乱によって大きな影響を受けるとか

不確定要素満載のシステムは信用ならない。

 

ときに微分システムは必要。

しかし、積分システムが鍵のように思える。