アニメを放映して、Blu-rayなどの円盤にする。
こういうのが最近の流れだと思う。
でも、その円盤を買うのは一体誰だろうか。
たまたまTVをつけて、アニメがやっていて、
なかなか楽しかったから、アニメを一期まるまる見てしまった、
という人がいて、彼はその円盤を買ったりするだろうか?
熱烈はファンであれば、買うだろうし、
メディアミックスでラノベから始まって、
待ちに待ったアニメ化で、それに関わるのが
大好きな監督さんと声優さんだったら、買うかもしれない。
でも、そうじゃなければ、わざわざ
パソコンやプレイヤーなどの特殊な機器が必要な円盤を買うのだろうか。
ここについてはすごく疑問に思うことは多々ある。
たとえば、昨年大きなヒットを出した
「君の名は。」
のBlu-rayの予約はすでに始まっているけれど、
あのBlu-rayを手に取る人は一体どんな人たちで、どれくらいの層が手に取るのだろうか。
Blu-ray以外にもつく特典もいろいろあるから
それが欲しいという人もいるかもしれない。
でもそういう話は、どちらかといえば、
パッケージとしてどういう形をとるか?
だけの話であって、迷っている人に対して追加で後押しをする追撃提案に近い。
アイマスとかもそういういろんな特典をつけて、
ファンを大変満足させていて
提供側は大変わかっている、みたいに感じたし、
そういう見せ方というか、サービス精神みたいな部分は良いとは思う。
でも、そもそもとして、
広告要素の強いアニメをパッケージして販売する、
というやり方がかなり不思議な感じがする。
それこそ、広告として使われていたポスターを積極的に販売する、
と同じ行為に思える。
コミケとかの即売会に行くと、
そういう大きなポスターなどを使わなくなったから、売りますよ、
みたいなスタンスで提供するところも見かけはするけど、
その立ち位置にかなり近い。
それなら、クラウドファンディングじゃないけど、
必要な人に手を挙げてもらって、
円盤を売る方がずっとニーズとマッチする印象はある。
実際、コンテンツなどを収めた
セミナー映像をDVDに販売する場合、
あらかじめ必要数だけ作っておいてというやり方よりも、
DVDが必要、という場合のみ、受注生産を取る業者は多い。
「過去の作品を記録として残しておくための媒体」
であれば円盤という形はよいのかもしれない。
でも、円盤自体はユーザーとしてはちょっと扱いづらい。
ただ作品を見るのであれば、
円盤よりも、動画配信されるところで、
見る方がずっと気軽だ。
ネットさえあればすぐに見れる。
大変良い。
こだわりのパッケージ、ブックレット、
その他の特典は完全にファン向けのもので、
きちんと価値を認識してくれる人向けに、
準備するのであれば、問題はないように思うし、
そういう人のために存在するのであれば、報われるような気もする。
でも、それはあくまで
そういう人たちのためであって、
そこはビジネスにおいて、メインにはならない。
サブだからこそ、必要な人に届くスタイルが最適なように思える。
アニメが広告とするなら、
それを元に何を広げたいか?を
考える必要があるように思える。
・声優さんを知ってもらいたいから、
・監督さんを知ってもらいたいから、
・ラノベの原作を知ってもらいたいから、
・動物園にいる俺の愛しのサーバルキャットを知ってもらいたいから
・若者に艦隊を知ってもらいたいから、
・うちのエロマンガ先生は大変いいんだよ!
とかなんでもいい。
要するに、そういう意図が入って、
起爆剤になるようなポジションがアニメのような気もする。
広告として捉えるなら、それが一番しっくり来る。
アニメをエンターテイメントとして捉えると
どうしても微分要素としてが強くなってしまう。
エンタメは結局、博打に近い。
その瞬間のニーズをくみ取りつつ、一発花火を打ち込むイメージ。
外れることもあるだろう。
だから現場ではその一瞬に力を注ぐ感じがする。
しかし一方で、広告として捉えるなら、積分要素が強くなる。
ある程度、戦略も立てやすくなるし、そこをメインにせず、
別のところでキャッシュを生む前提に変わる。
この微分と積分をきちんと把握しつつ、
キャッシュフローと構造を作っていかないと、ビジネスとしては成立しないんだろう。
うまくやってるところは、きっとそれができている。
手塚さんの時は、
積分要素が彼自身の資産だったと見る方が良いんだろうか。